教育学専攻は、「教育学」、「教育心理学」、「臨床心理学」の三つの専門領域から成り立っています。教育界や産業界では、少子化、高齢化、社会的ひきこもりの出現、教育・保育制度の改革、教員の資質向上の要請によって、複雑な問題が発生しています。その解決のためには、多角的に“人間”と社会を見つめる目を養うとともに、問題に取り組む実践的能力、技術を磨く必要があります。
教育学専攻では教育学、人間学、心理学などを系統的に学べる体制を整えています。前期課程においては、高度な実践的知識・技能を備えた専門的教育者の養成を目指します。教育職員一種免許状を取得している方は、専修免許状を取得することができます。後期課程では研究者養成を目的とした指導体制を整えており、高度の教養と専門の実践的能力の向上を目指した教育学・心理学の授業科目が開講され、博士論文作成を目標とします。
昼夜開講制になっているので、広く社会人にも門戸が開放されています。
教育哲学、日本教育史、西洋教育史、教授理論、教育社会史、幼児教育学、教育心理学、発達心理学、認知心理学、臨床心理学、音楽療法等の専門領域を指導する専任の教授陣を揃えています。
基本的には「特論」と「演習」及び「特殊研究」という授業科目になっており、各教員がそれぞれ独自の専門的な講義題目で授業を行います。院生の論文作成にあたっては、構想発表会、中間発表会、最終発表会というチェックポイントを設定するなど、実りのある成果に結びつける工夫をしています。
授業科目 | 担当教員 |
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教育学特論Ⅰa・b | 教授 山内 紀幸 |
教育学特論Ⅱa・b | 教授 中村 隆文 |
教育学特論Ⅲa・b | 教授 堀江 祐爾 |
教育学特論Ⅳa・b | 教授 三宅 茂夫 |
教育学特論Ⅴa・b | |
教育心理学特論Ⅰa・b | 教授 久木山 健一 |
教育心理学特論Ⅱa・b | |
教育心理学特論Ⅲa・b | |
臨床心理学特論Ⅰa・b | 教授 前田 研史 |
臨床心理学特論Ⅱa・b | 教授 小原 依子 |
教育学演習Ⅰa・b | 教授 山内 紀幸 |
教育学演習Ⅱa・b | 教授 中村 隆文 |
教育学演習Ⅲa・b | 教授 堀江 祐爾 |
教育学演習Ⅳa・b | 教授 三宅 茂夫 |
教育学演習Ⅴa・b | |
教育心理学演習Ⅰa・b | 教授 久木山 健一 |
教育心理学演習Ⅱa・b | |
教育心理学演習Ⅲa・b | |
臨床心理学演習Ⅰa・b | 教授 前田 研史 |
臨床心理学演習Ⅱa・b | 教授 小原 依子 |
教育学特殊研究Ⅰa・b | |
教育学特殊研究Ⅱa・b | |
教育学特殊研究Ⅲa・b | |
教育学特殊研究Ⅳa・b | |
論文指導演習a・b | 各担当教員 |
学位論文 |
授業科目 | 担当教員 |
---|---|
教育学特論Ⅰa・b | 教授 山内 紀幸 |
教育学特論Ⅱa・b | 教授 中村 隆文 |
教育学特論Ⅲa・b | 教授 堀江 祐爾 |
教育学特論Ⅳa・b | 教授 三宅 茂夫 |
教育心理学特論Ⅰa・b | 教授 久木山 健一 |
臨床心理学特論Ⅰa・b | 教授 前田 研史 |
臨床心理学特論Ⅱa・b | 教授 小原 依子 |
教育学演習Ⅱa・b | 教授 中村 隆文 |
教育学演習Ⅲa・b | 教授 堀江 祐爾 |
教育学演習Ⅳa・b | 教授 三宅 茂夫 |
臨床心理学演習Ⅰa・b | 教授 前田 研史 |
臨床心理学演習Ⅱa・b | 教授 小原 依子 |
論文指導演習a・b | 各担当教員 |
※a=前期開講科目 b=後期開講科目
2018年度の各課程の概要について表示しています。
なお、2019年度については担当教員を含め一部変更の可能性があります。
「教育学共同研究室」及び「教育学演習室」という大小2室の専用研究室があり、院生各自に机が用意され個人の意欲的な研究活動や院生相互の討論・交流に活用されています。
後期課程修了者の中には、国公立大学・私立大学・短期大学などで教壇に立っている者もいます。前期課程修了者の中には、「専修免許状」を取得して「院卒」として教職の道を選ぶ者がいるほか、医療・福祉などの領域で活躍している者も少なくありません。また、社会人の修了者は、在籍職場で専門家として活躍しています。
適切なコミュニケーションや対人関係に深い関連を持ち、社会性や社会的適応の基礎となるソーシャルスキルを中心に検討している。学校での良好な仲間関係とソーシャルスキルの関連について各学校段階での検討をするだけでなく、教師からの働きかけによってソーシャルスキルを育てるためのSSTを用いた心理教育プログラムの開発も行っている。また、学校だけでなく祭などの地域活動に参加することで学校では身につかないソーシャルスキルを獲得していく過程の検討も行っている。さらに、大学生が自発的に自身のソーシャルスキルを改善していくためにスマートフォンを活用する効果についても検討している。
青年期以降の心身保健学的研究について、主に青年期特有の病理を中心に臨床実践を通して検討している。またその療法としてのアプローチでは、カウンセリングや心理療法(特に芸術療法・音楽療法)の技法を探究している。音楽療法については、臨床実践、及びその効果の定量的評価や分析をおこなっている。特に集団療法におけるアセスメント・評価法開発においては最先端課題に着手し、疾患や障がいに対応した音楽療法技法の確立と療法独自の理論的構築を目指して研究を進めている。音楽の生理学的解明には、脳波、呼吸、心拍、血圧、皮膚温などを含むポリグラフ研究を導入している。
近代日本を文化構造論的に捉えると、日本と欧米の二つの文化的潮流の葛藤と考えられる。そこで私の研究への姿勢は、この葛藤を通して教育現象を読み解くことに重点が置かれている。例えば、図画教育の図版分析から日本文化と欧米文化の構造的把握を試みたり、「男女交際」ということばの成立から風俗的にとらえられがちなこの言説の文化的背景を描き出したりなど、様々な視点からのアプローチが可能となる。何よりも私の学問に対する考え方は、自らのサイズで、自らが最も注目したい課題を徹底的に追及する事から始まるのである。
次のような〈よりよい授業実践をおこなうための5つのポイント〉を提言し、国語科教育における授業論についての研究を行っている。
子どもがその発達途上で抱える心理的諸問題とその援助について、親子関係・家族関係との関連で検討している。とくに、児童福祉領域で出会う子どもたちへの臨床心理援助のあり方と、その特徴を明らかにする作業を行ってきている。児童福祉の現場では、いわゆる外来通所型の援助だけでは十分な効果を上げることができない場合が少なくない。そこで、外来通所型の枠組みを超えた多面的で柔軟な臨床心理援助システムの構築を目指している。
就学前教育は全人的な自律にむかい、幼児自身が主体的に周囲の環境とかかわり、自らの個性を自覚するとともに、社会における責任ある存在としての認識を築きあげていくものでなければならない。それらの教育には、遊びを中心とした幼児期にふさわしい内容や方法が求められる。
幼児期にふさわしい教育の在り方について、就学前教育カリキュラムに顕在・潜在するストラテジーやイデオロギーについて構造的な検討を行っている。また、幼児期の道徳性の芽生えを培うコミュニケーション環境の構築について、マクロ・ミクロな視点からの環境分析を通して考察している。特に、教育実践学を構想し、就学前教育にかかわる理論と実践の確かな練り合わせをめざした研究態度を重視している。
近年は、大きく二つの方向で研究を進めている。一つ目は、新教育に関する思想史的研究。デューイ、パーカスト、モンテッソーリなどの欧米の新教育思想、及びそれらの大正期における日本への受容過程に関心をもっている。二つ目は、カリキュラム研究。幼児教育や初等教育における「プロジェクト」「幼小連携カリキュラム」「国際バカロレア(PYP)」について、理論的・実践的な検討を行っている。教育の思想を掘り下げてみる視点と、教育のアクチャリティを実践論的あるいは方法論的に検討していく視点。その両視点を大切に、教育研究を遂行している。