現在は、過去から絶えることなく積み重ねられてきた歴史の地層のうえに成り立っています。その地層のひとつひとつに問いかけるとき、先人たちが培ってきた叡智や現在につながる因果関係を発見することになるでしょう。歴史を学ぶことは、過去の在り方とともに現代社会の成り立ちを知ることにもつながります。温故知新の言葉通り、歴史学とは、過去と対話しながら新たな未来を切り拓く、創造性のある学問です。
2024年度から、高等学校教諭一種免許状【地歴】に加えて【公⺠】も取得できるようになりました。
「〇〇だと言い伝えられている」に
歴史のヒントが隠されている !?
昔話のパターンが何種類?
伝統行事に込められた意味は?
妖怪と幽霊の見分け方は?
暮らし方の違いは常識の違い?
「結婚」と「富の獲得」が
2大キーワード
祈願? or 封印? or 交流?
どこに出るのか?
何に憑くのか?
地理・役割・時代で変化する?
子どもの頃から親しんできた昔話。あなたはいくつ思い浮かびますか?「桃太郎」「かぐや姫」「花咲か爺」など、いろんなお話がありますよね。種類がたくさんに思えますが、「結婚」と「富の獲得」というポイントに注目してみると、日本だけでなく、世界各地の多くの昔話が、このポイントのいずれかもしくは両方の要素を含んでいます。どちらも人生にとって重大事。昔話は実話ではないけれど、語り継いできた人々の「生きるための知恵」が隠されているのかもしれません。史学科では、世界の昔話を比較研究する民俗学の授業もありますよ。
あなたの暮らす町にもお祭りがあると思います。人々が地域に伝えてきた伝統行事も民俗学の対象です。史学科ではフィールドワークとしてお祭りを実際に見学します。大阪・住吉大社の「御田植神事」は豊作を祈願するお祭りです。奈良・當麻寺の「練供養」は中将姫が極楽浄土に行く場面を再現する儀式。京都・鞍馬寺の「竹伐会式」は、大蛇を退治したという故事に因んだ伝統行事。いずれも古くから伝わる行事ですが、動画で見るだけでなく、実際に現場で体験することを史学科では大切にしています。先人が行事に込めた意味を、より深く感じ取れそうですね。
妖怪と幽霊、どちらも不可思議な存在ですが、両者はどう違うのでしょうか。諸説あるようですが、例えば河童は川にいるように「出る場所」が決まっているようです。そして幽霊は場所ではなく、特定の人の前に現れます。つまり妖怪は場所に憑き、幽霊に人に憑くということ。多くの場合、妖怪が出るとされる場所は神様が祀られていた場所と関係があるようです。コロナ禍で注目された妖怪と言えば、疫病封じのアマビエ。史学科では、カリフォルニア大学デービス校とオンラインで繋がり、民俗学者マイケル・ディラン・フォスター氏によるアマビエを含む日本の妖怪についての講義を受講。日米学生同士の交流も行いました。
今まで常識だと思っていたことが、他の人にとっては常識じゃなかったってことがあります。卵焼きがあまいかしょっぱいか、といった身近な食に関する生活習慣も民俗学として調べていくと、地理・時代・人の役割で変化することがわかります。卒業研究では、自分にとってのテーマを民俗学的にリサーチすることができます。お雑煮についての調査や駅弁の比較など、史学科の学生もさまざまな民俗学にチャレンジしています。何気ない疑問を民俗学的な目で見つめて考えるのって、すごく楽しいですよ。
在学中、すべての学年・学期で少人数制の演習<ゼミ>を開講。入学と同時にスタートする入門演習では、ゼミごとに学生自身が見学先を選び、学外実習<フィールドワーク>に出かけます。見学の成果はゼミの時間にスライドを作り、全学生の前で発表<プレゼンテーション>。社会人になったときに活きる探求心と協働性がしっかり培われます。
各時代専攻が充実した日本史はもちろん、世界中の地域の歴史が学びの対象です。
文献以外の資料を用いる考古学や民俗学などの研究手法も学べることが本学の特色です。
日本古代史
日本古代史および前近代の海域アジア史に
関する研究テーマを自由に選択し、
歴史的視野を広げます。
日本中世史
平安後期から室町・戦国期の近年における
研究成果と課題を追究します。
博物館やフィールドでの「学び」も取り入れ、
資料を読み解く技能を身につけます。
日本近世史
豊臣政権期から幕末期までの時代を扱います。
近世古文書解読とフィールドワークを重視し、
江戸時代の実像を学問的に解明します。
日本近現代史
当事者の日記・手紙や公文書、
当時の新聞などの史料を、
ICTも駆使して収集し、
人物や事件の実像に迫ります。
考古学
モノ=物質資料を使って、
人類がたどってきた途を再構成します。
資料の分析を通じて問題を解決に導く力を、
フィールド調査を通じて組織行動力を、
それぞれ身につけます。
東洋史
アジア全域の全時代をテーマに
とりあげることが可能です。
一国の歴史だけを取り上げるのではなく、
複数の国家や地域の視点から
文献史料を読み直すことで、
新たな歴史像を構築します。
西洋史
ヨーロッパとその影響が歴史的に及んだ
諸地域の古代から現代までを幅広く扱い、
政治、経済、社会、文化、思想などを
多角的に考察します。
民俗学
一般庶民の生活文化を考察します。
現在と過去の連続性と断絶性についての
理解を深め、古代から現代までを幅広く扱い、
未来を展望する視点を養います。
歴史学のスキル=社会人のスキル!?
史学科で鍛えられる能力と社会で求められる能力の意外な共通点とは?
「過去の歴史を探求するチカラ」と「現代社会で働く社会人に求められる力」。
無関係のようにも見えますが、実はその根底にはいくつもの共通点があります。史学科で培われるチカラには社会人に求められる力がいくつも含まれています。
社会で活きる
情報収集力
史学科では、古文書や石碑など昔年の史資料から最新の研究論文まで、さまざまな情報を探し集め、それらを整理し分析する力を養います。
社会で活きる
プレゼンテーション力
史学科では〈ゼミ〉と呼ばれる少人数制の授業で、思考力と表現力を鍛えます。各自がテーマを決め、証拠=史資料を示しながら、論理的に自分の意見を主張する発表を行います。
社会で活きる
協働力
考古学・民俗学の資料研究や博物館での実習では協働作業が必須。各ゼミの学外研修や史学科研修旅行でも、学科の仲間と情報や体験を共有し、意見を交換して学びを深めます。
社会で活きる
多文化理解力
史学科では、世界中すべての地域と時代が学びの対象です。さまざまな風土や文化、価値観を理解して尊重できる、多文化共生社会に求められる人材を育てます。