神戸女子短期大学紀要「論攷」
神戸女子短期大学紀要「論攷」は、神戸女子短期大学における学術研究活動の成果を広く世の中に公表することを目的とした学術出版物です。
最近の情報通信技術の発展に伴い、より多くの研究者に神戸女子短期大学の研究成果を知って頂くため、2002年からはインターネットを利用した電子出版を開始いたしました。
PDF形式のファイルをご覧頂くにはAdobe Readerが必要です。
Adobe Readerは、Adobeサイトから無料でダウンロードできます。
論攷 第55号
<原著> 小学校における外国語教育
岩中 貴裕
要旨
新教育課程が平成23年度より完全実施される。これまで「総合的な学習の時間」の中で実施されてきた英語活動は、領域として「外国語活動」として設けられ、第5・6学年で年間35単位時間実施される。本稿はまず小学校における英語教育の歴史を概観する。次に全国の小学校が現時点でどの程度の英語活動を行っているのかその現状を報告し、そこから浮かび上がってくる課題・問題点を指摘する。次にその問題点を解決するための手段として『英語ノート』を活用した授業を提案し、その具体的な方法を提示する。最後に、小学校において「外国語活動」を設けるに当たり今後どのような議論が必要になるかについて指摘し、小学校で実施される「外国語活動」における教師の役割について言及する。
<原著>
「理論に基づいたアセスメントから学んだこと」
〜介護過程の展開を効果的に学ぶ取り組み〜
黒田 しづえ
要旨
1987年の「社会福祉士及び介護福祉士法」の制定によって介護の専門職として誕生した介護福祉士は、その後の時代状況を背景に2008年現在では、73万人に近づく登録者数となり、介護施設における介護職員の約4割が有資格者という現状である。このような中、2006年には、介護福祉士養成課程のカリキュラムが新たに示され、平成21年度入学制からこの新カリキュラムに則って養成教育が進められることになり、介護福祉士教育は新たな段階を迎えている。新カリキュラムの開始に伴って、それまでの養成課程終了後の登録をもって国家資格取得が可能な制度から、国家試験への受験・合格が必須となる。このような中で、統合的な学習成果が問われる実習において、特に重要である「介護過程の展開」について、今後の教育効果を高めるにはどうすればよいかを教授法、記録システム、施設実習について学生のインタビューを通して教授方法や事前準備等について考察し、今後の課題を明確にした。
<ノート> ザルツマン法による二酸化窒素の簡易定量と室内環境評価
田中 智子、岩月 聡史、茶山 健二
要旨
大気汚染の原因の1つである二酸化窒素は、室内では調理器具や暖房の燃焼などによって発生する。そこで、室内環境の違いにより、二酸化窒素濃度がどのように変化するのか調査した。測定は、バイアル瓶を使用した簡易型のザルツマン法を用いた。2家庭で56日間、3箇所の定点観測した結果、両家庭とも床より2mのガスコンロ上の地点で二酸化窒素濃度が一番高かった。また7月から11月の月別観測では、いずれの地点も11月が高い傾向を示した。
<資料> 唱歌のピアノ伴奏を再考察する−言葉(詩)と音楽の本質をとらえて−
廣田 周子
要旨
唱歌や子どもの歌であっても芸術歌曲と同じように、言葉と音楽が密接に結びついていることを深く認識する必要がある。伴奏する際には、言葉と音楽の拍やアクセントやフレーズがいかに関わりあっているかを捉えて演奏することが重要であり、それをいかに学生に伝えるかを曲例を挙げて述べた。
<資料> 併用住宅の設計
本保 弘子
要旨
鉄筋コンクリート壁式構造の事務所併用住宅を設計した。併用住宅全体としては職住同居となっている住宅内部の設計は、平面構成と立体構成による職住分離に加えて、時間軸も組み込んだ職住分離となっている。