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神戸女子大学古典芸能研究センター稀書展示記念講演報告

 11月23日(金・祝)、神戸女子大学教育センター(三宮キャンパス)5階 特別講義室で、上記の展示に併せて、「稀書展示記念講演会」を開催しました。

稀書展示記念講演

  今回の講演は、新収貴重資料の展示も見られる好機とあって遠方からの参加も多く、ほぼ満席でした。展示会場には早くから来場者があり、講演時間の前後も熱心に展示を見る人で会場は賑わいました。
 阪口センター長の講演は、信多先生の「浄瑠璃」成立論の紹介から話が始まりました。そしてそれをふまえて、平清盛を主人公として構想されたと推定できる浄瑠璃本『清盛物語』を新資料として紹介、この本が大阪の書肆の江戸店から出版されている点に着目して、書肆の経営戦略や浄瑠璃をめぐる上方と江戸との交流などにも言及がされました。
 中野三敏氏の講演は、志水文庫の狂歌本について少し話があり、その後「和本リテラシー」の話へと話題がうつりました。冒頭、現代の日本人の大半は明治初期の平仮名を読めないという現状の指摘から話が始まり、これは明治以降の急激な近代化によって引き起こされた「ねじれ」の一つであるとの指摘がされました。そしてその具体的な解決策として、次世代に向けて小中学校で仮名文字(いわゆる「くずし字」の平仮名)教育を行うべきであるとの提案がなされました。開催後のアンケートでは、現状を知って危機感を持った、子や孫にこのことを伝えようと思ったなど、賛同意見が多く寄せられました。
 鳥越文蔵氏の講演は、「(演題に)「近松研究の限界」とありますが、上に「私の」とつきます」という言葉で始まりました。そして、ご自身の仕事、あるいはこれまでの学界の近松研究を概観し、学界に期待される課題について話されました。その合間には信多先生との思い出話のほか、『近松全集』刊行をめぐる話、近松門左衛門の墓の真偽など近松研究に関するエピソードが盛り込まれ、会場内ではたびたび笑いが起こりました。


(左)
行吉理事長の挨拶
(右)
阪口センター長講演




(左)
会場の様子
(右)
中野三敏先生講演




(左)
会場の様子
(右)
鳥越先生講演

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