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センター開設10周年記念講演会 開催報告

古典芸能研究センターは、平成23年10月23日(日)新神戸オリエンタル劇場において、“東日本大震災復興支援「古典芸能の力、今 この時」―古典芸能研究センター開設10周年― ”を開催しました。

プログラム

■記念講演
「これからの日本古典芸能研究に期待されるもの」
ロバート・キャンベル 東京大学大学院総合文化研究科教授
■解説
「文楽上演によせて」
阪口 弘之 古典芸能研究センター長
■文楽「寿式三番叟」
太夫 翁
竹本津駒大夫
    千歳
豊竹呂勢大夫
    三番叟
豊竹咲甫大夫・豊竹芳穂大夫
三味線
鶴澤燕三・竹澤宗助・豊澤龍爾・鶴澤清公
人形 翁
吉田和生
    千歳
吉田勘彌
    三番叟
桐竹勘十郎・吉田玉女
■素浄瑠璃「一谷嫩軍記」組打の段
太夫
豊竹咲甫大夫
三味線
鶴澤燕三

満員の参加者をお迎えして、古典芸能のもつ豊かな可能性と魅力を問う素晴らしい催しとなりました。

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受付開始直後から、来場者が次々と

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入口で兼任研究員がパンフレットを渡す

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ロビーでのパネル展示「古典芸能の舞台 神戸」

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古典芸能研究センターを紹介したパネルも展示

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会場は開演10分前にはほぼ満席となった

記念講演では、キャンベル教授が、日本の古典芸能の特徴と魅力は、演者自らが型や芸を受継ぎながら同時に次世代へもつなぎ、長い時間をかけて成長にかかわり続け、観客はそれを見守り続けることであると、欧米の場合と比較しながらわかりやすくお話しくださいました。また、最新の研究動向として、個々の作品研究やジャンルを超えた、幅広い視野から考察した書物が紹介されました。会場では、日本人以上ともいうべき軽妙洒脱で、かつ奥深いお話に皆々が聞き入りました。

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壇上の様子

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キャンベル教授のお話にはテレビ番組収録裏話も

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学生による御礼の花束贈呈

阪口センター長の解説では、演目・演者紹介のほか、「一谷嫩軍記」は、それまでのドラマ作法に定着していた「源氏は善、平家は悪」という典型的な枠組みにゆさぶりをかけた画期的な身替り劇であるという話がありました。

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文楽上演にさきがけ、阪口センター長による解説

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幕前の様子

能「翁」をうつした文楽「寿式三番叟」では、舞台も能舞台を摸して橋掛かりが設けられ、背景に松も描かれています。その松の前に太夫や三味線が一列に並んだ華やかな舞台で、まず千歳と翁が登場し、厳かな舞を見せました。

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1階席から見た舞台の様子
(能をうつした演目なので能舞台を模している)

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千歳の舞

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翁が翁面をつけて舞う

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3階席から見た舞台の様子
(3人の人形遣いが一体の人形を操っていることがよく分かる)

翁の舞

続いて、三番叟の人形二体が派手な装束で登場、息のあった躍動感あふれる連れ舞を熱演しました。三番叟が踊りの合間に手に持った鈴で相方をつついたり、踊り疲れて扇をつかいながら一息ついたりする滑稽な仕草に、客席からは笑いが起こっていました。

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三番叟が二人登場

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片や三枚目タイプ(左側)

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片や二枚目タイプ(右側)

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千歳が鈴を渡す

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後半は鈴を持って賑やかに舞う

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ちょっと踊り疲れ・・・

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元気に舞いおさめる

三番叟の舞、後半部

ちょっと踊り疲れて・・・

「一谷嫩軍記」は、太夫の語りと三味線のみの素浄瑠璃でしたが、熊谷と敦盛の対決を目の当たりにしているかのような迫力に皆熱心に聞き入り、後半には忍び泣きも聞かれました。

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静まりかえった場内

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「寿式三番叟」とは対照的に、敦盛最期の様子をしんみりと聞かせる

実演後の数分間、キャンベル教授と司会者(文学部 大谷節子教授)による即興のミニ「J.ブンガク(*注)」講義があり、会場が沸きました。
(*注…NHK教育テレビの語学教育番組。司会のキャンベル教授が英語に翻訳された日本の文学作品を紹介している。)

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司会者の依頼に応じて客席から登壇したキャンベル教授は、「いかがでしたか」の問いに、「いやぁ~シビれました」とコメント

最後に、当日のご厚志を日本赤十字社へ寄附する義援金贈呈式がおこなわれ、閉会となりました。

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日本赤十字社兵庫県支部事務局長 東田雅俊氏(右)へ目録を贈呈する、神戸女子大学学長 波田重熙(左)

この催しは、兵庫県教育委員会、神戸市教育委員会をはじめ多くの報道機関の後援をいただき、おかげさまをもちまして無事終了することができました。心より御礼申し上げます。

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