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稀書展示目録

神戸女子大学大学院昼夜開講制実施
同古典芸能研究センター開設記念

*展示された資料の中には個人蔵も含まれております。個人蔵の物についてはセンターでは資料についてのお問い合わせ等にお答えできないこともあります。ご了承下さい。

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平成十三年十月十四日(日曜日)〜二十八日(日曜日)
於 教育センター二階古典芸能研究センター

1.能狂言絵巻

(写真)

巻子本一巻(33×975)江戸前期写 奥書無

【所収曲】式三番・難波・すゑひろかり・八島・せんし物
はせを・かき山ふし・紅葉狩・あはたくち・あま
八句れんか・白髭・はき大名・朝長・志水
野のみや・花こ・張良・くわいちうむこ・三輪
鳫盗人・白楽天・ゑほしおり・敦盛・たうすまひ
松風・うつほさる・羅生門・くれは

式三番
(写真)

およそ千年の鶴ハ/はんせいらくと/うたふたり
又はんたいの/池のかめハ/こうに
さんきよくを/いたゝいたり/瀧の水
れいくと/おちて/よるの月
あさやかに/うかんたり
なきさの砂/さく(さく)/として
あしたの/日の色を/ろうす
天下たい平/国土あんおん/今日の
御きたうなり/ありはらや

すゑひろかり
(写真)

かさをさす/ならはかすか山
これも神の/ちかひと人か
かさをさす/ならおれも/かさを
ささふよ/実もさあり
やよけにも/さうよの/(さうよの)

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2.山うはの曲舞

(写真)

沢庵宗彭詠。自筆か。伝外宗左極書、田山方南箱書「昭和五十二年七月田山方南」

巻子本一軸(19.6×253) 紙高15.9 二重箱入 題箋「山うはノ曲舞之歌」 内題「山うはの曲舞」 札同封(下段写真)包紙「沢庵和尚山姥巻物伝外宗左極之文字カナ付ケ」

『沢庵和尚全集』第三巻所収の「山姥五十首和歌」(安永七年刊)にはない題「衆生あれは山うはもあり」(二十二番目)があり、歌数も二首多い。「山姥といふものはある物かなきものかと君より御尋ねの時」の沢庵の「御返答」と記す伝本有。極書を記した伝外宗左は大徳寺第一九六世。

山うはの曲舞
(写真)

一洞空溪聲
一洞のとうはほらなり洞の中
むなしきからにひゝきありけり
かねのねも谷のこたまも吹笛も
内むなしくてなるひゝきなり
無生音
耳にふるゝその聲くのみなもとを
無生音とは是をいふ也
無生とは生する事のなきなれは
滅する事もなき聲としれ
またたゝぬ波のをとをはたゝへたる
水にあるよと心にてきけ

(写真)沢庵和尚之
真跡莫偽
伝外宗左
(写真)(札)

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3.和漢朗詠集戊辰切(複製本)

(写真)

本複製本については『神女大国文』第9号に中川順子氏による紹介・翻刻がある。以下に書誌事項部分を引用する。

巻子本。二軸。桐箱入り。外題なし。内題「和漢朗詠集上」「和漢朗詠集下」。「定信戊辰切 和漢朗詠集」(箱側面貼付の和紙に墨書)。(中略)発行所、刊行年、編者名等不明。解説、釈文なし。(中略)

(写真)(春部)

本複製本所収の詩歌句は、上巻1〜1618〜737881〜396、下巻397〜533535〜602604〜677679〜796798〜804である(新編国歌大観番号に拠る)。なお797番の位置には「世中はゆめかうつゝかうつゝともゆめともしらすありてなけれは」があり、御物粘葉本を除く平安期諸伝本と同じかたちである。また78番は8番の次にある。計、七九六首句、うち重複二首句(17番の位置にも630番、81番と82番の間にも555番がある)

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4.能扇子絵巻

(写真)

鴻山文庫旧蔵。巻子本一巻(30.2×1582)。江戸前期写。扇子図(紙本彩色画十三図 白描画八図)。覚書三種。
※ページトップの扇面図もご参照下さい。

(写真)

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5.能覚書

写本二冊。横本。藍地扇団扇散らし模様裂地表紙。塩小路光貫筆。能型附書。百四十八番。附、書上之外三十五番及び別冊。

(写真)(103オ)

〔中央部分〕
調伏曽我
是ハ安永六酉年五月朔日、幸久左衛門、於
仙洞御所ツトメシヲ光貫見取シ書記也。

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6.能覚書

吉田文庫蔵。写本七冊。大本。薄青格子地表紙。各本奥書「寛政六甲寅歳 於湖南書之 塩小路光貫花押」。

(写真)(2ウ3オ) (写真)(裏見返し)

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7.仕舞附

喜多流仕舞附。写本五冊。藍地空押模様表紙。題箋有。奥書無。朱書入、貼紙等有。題箋に「仕舞附木・火・土・金・水」。一巻に序文、二巻以後巻頭に「替面之事」「衣装心得之事」「腰帯之事」「襟之事」を記す。

(写真) (写真)(38ウ39オ)

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8.〔謡鏡〕

森修文庫蔵。刊本一冊(零本)。横本浅黄紗綾形空押表紙。題箋欠。内題無。刊記欠。上巻のみ。

目録には第一「五音清濁之事」から第三十十二「調子聞分図」まで記されているが、本書はその内の第八「噫次乃事」まで。目録の条目数から三巻本であると推定される。早稲田大学演劇博物館の安田文庫に「うたひ鏡」(上巻のみ)有。丁付のあり方は同じ。ただし安田本には「謡鏡集」(ヨウキョウシュウ)の内題有。安田本と同種本の写し上下二巻が鴻山文庫にあり、その巻末に寛文第二八月上浣の記載がある。

(写真)(1オ) (写真)(2ウ)

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9.阿弥陀胸割

森修文庫蔵。刊本一冊。中本。十六行十六丁。刊記欠。説経。絵入本。

慶長十九年(一六一四)には『浄瑠璃御前物語』や『牛王の姫』とともに操りとして上演された記録がある古い語り物。

(写真)(1ウ2オ) (写真)(1オ)

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10.大友まとり

森修文庫蔵。刊本一冊。中本。十六行十丁近藤助五郎清春画。江戸鱗形屋孫兵衛刊。古浄瑠璃。絵入本。刊記に「享保  年正月吉日」

「大友まとり」には上総掾正本と出羽掾正本がある。本書は後世の江戸板。出羽掾正本を江戸で復刻したもの。霞亭文庫蔵の『真鳥兼道』と同板。本書一丁表にある「初段」が霞亭本にはない。

(写真)(1オ) (写真)(1ウ2オ)

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11.曾根崎心中

森修文庫蔵。浄瑠璃。刊本一冊。半紙本。六行四十丁。大坂山本九兵衛刊。

現存する六行本は甲南女子大所蔵の本と本書の二冊のみである。本書には、甲南女子大本にはある序文がない。

(写真)(1オ) (写真)(40ウ・裏見返し)

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12.〔役者絵尽〕

〔役者絵尽〕(巻四「八重かきくものたへま  付リ上るり太夫しくみそろへ」)

森修文庫蔵。刊本一冊(欠本)。大本。甘露堂文庫の印有り。『国書総目録』にある尾崎久弥本の可能性がある。他にはボストン市立美術館に三冊揃いがあるのみ。

(写真)(1オ) (写真)(1オ2ウ)

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13.〔声色当狂言〕

〔声色当狂言〕

森修文庫蔵。刊本一冊。中本。十八丁。外題内題無。巻末に「千穐萬歳大入叶」。序に「戊申の孟春 歌舞伎山人誌」とある。

中村歌右衛門以下役者の評、当狂言の一節が記され、それぞれの似顔絵が挿絵となっている。松竹大谷図書館に同板本有。

(写真)(2オ) (写真)(2ウ3オ) (写真)(18ウ)

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14.〔竹田新からくり〕

〔竹田新からくり〕

森修文庫蔵。刊本一冊。中本。十五丁。書題箋「大からくり絵尽」。

初丁オに石割蔵の蔵書印があることから、『稀書複製会本』底本と思われる。二本しか現存しないからくり絵本の一本であり貴重。宝暦八年正月の行と推定されている。

(写真)(1オ) (写真)(1ウ2オ)

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塩小路光貫
元文四年生。明和三年若狭守。号稲音。寛政十二年没。九条家の諸大夫。観世十五代元章、片山幽室の弟子。『能覚書』他、少なからぬ自筆伝書が現存する。
吉田文庫
(写真)
近江長浜住、吉田家旧蔵の本。平成十二年古典芸能研究センター(当時能楽資料室)に吉田慎一郎氏より寄贈された。写真は五番綴謡本。
森修文庫
昭和六十三年に本学に収蔵するところとなった故森修教授(本学国文科教授)の蔵書。特に和書蔵書に専門の演劇書のみならず重宝記等の多彩な種類の書が含まれている点が本文庫の特色であると言える。

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