講座の紹介「企業が求める求人像」

求人像の変遷

イラスト

日本が高度成長を遂げ、世界の経済大国になった背景には、終身雇用制度というわが国独特の人事管理システムがあったといわれます。

終身雇用制度とは、入社したら定年まで企業は雇用を約束するかわりに、社員は会社に忠誠を尽くすという制度で、「新卒採用」と「年功序列型賃金」が特長です。

学校を卒業したら、自分の目指す「会社」に入り、企業は新人を教育して、企業が求める人材に育成する。その賃金は入社時から右肩上がりで、最初は低く、歳をとるにしたがって上がってゆくという制度でした。この制度は、一方で世帯主は男性で、女性は主に家事をするという役割分担の制度化をも助長させることになりました。

当時のわが国の労働人口の人員分布はピラミッド型になっていましたので、職務と賃金が偶然一致し、この制度がうまく機能しました。しかし、経済が発展するとマーケットが国際化し、年功序列型賃金の給与体系では、「同一労働・同一賃金」が当たり前の海外企業との競争に勝てなくなってきましたので、わが国の企業も、「同一労働・同一賃金」の給与体系すなわち職能給を中心とした給与体系に移行せざるを得なくなりました。

この変化は、採用が新卒から中途へ、学校ブランドから能力優先との変化を生み、女性の社会進出を加速させました。すると、就職活動も「就社」活動から本来の「就職」活動に変わってゆきます。大学ブランドが主であったため、学校推薦を中心にした採用は、優秀な人材をいかに見出すかという個人ブランドが主の採用に変化しました。

「職」中心の時代に必要なのは、それぞれが求める職に対し、それぞれがその職を自己を実現させる最良の手段として考えるようになったので、本講座でも取り扱う「キャリアデザイン」の作成が就職支援の柱となったのです。

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社会人基礎力

平成18年1月に「社会人基礎力に関する研究会」(中間取りまとめ)より「社会人基礎力」が企業の求める求人像であるとの報告がなされました。

この報告書は経済産業省と企業の代表者(主に経済団体連合会のメンバー)が検討を重ねたもので、これまで採用する側の求める求人像が、受験をする学生等に伝わっておらず、また、企業が言っている求人像と実際に採用された人物に差があるように多くの学生が感じているので、この問題を解決するために研究会が組織され、上記の提案となりました。

「社会人基礎力」を構成する主要な能力は次の3つです。

  1. 「前に踏み出す力」(アクション)
    一歩前に踏み出し、失敗しても粘り強く取り組む力
  2. 「考え抜く力」(シンキング)
    疑問を持ち、考え抜く力
  3. 「チームで働く力」(チームワーク)
    多様な人とともに、目標に向けて協力する力

この3つの主要な能力を構成するのが、次の12の能力要素であると分析されています。

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社会人基礎力の能力要素

分類 能力要素 内容
前に
踏み出す力
(アクション)
主体性 物事に進んで取り組む力
例)指示を待つのではなく、自らやるべきことを見つけて積極的に取り組む。
働きかけ力 他人に働きかけ巻き込む力
例)「やろうじゃないか」と呼びかけ、目的に向かって周囲の人々を動かしていく。
実行力 目的を設定し確実に行動する力
例)言われたことをやるだけでなく自ら目標を設定し、失敗を恐れず行動に移し、粘り強く取り組む。
考え抜く力
(シンキング)
問題発見力 現状を分析し目的や課題を明らかにし準備する力
例)目標に向かって、自ら「ここに問題があり、解決が必要だ」と提案する。
計画力 課題の解決に向けたプロセスを明らかにし準備する力
例)課題の解決に向けた複数のプロセスを明確にし、「その中で最善のものは何か」を検討し、それに向けた準備をする。
創造力 新しい価値を生み出す力
例)既存の発想にとらわれず、課題に対して新しい解決法を考える。
チームで
働く力
(チームワーク)
発信力 自分の意見をわかりやすく伝える力
例)自分の意見をわかりやすく整理した上で、相手に理解してもらうように的確に伝える。
傾聴力 相手の意見を丁寧に聴く力
例)相手の話しやすい環境をつくり、適切なタイミングで質問するなど相手の意見を引き出す。
柔軟性 意見の違いや立場の違いを理解する力
例)自分のルールややり方に固執するのではなく、相手の意見や立場を尊重し理解する。
状況把握力 自分と周囲の人々や物事との関係性を理解する力
例)チームで仕事するとき、自分がどのような役割を果たすべきかを理解する。
規律性 社会のルールや人との約束を守る力
例)状況に応じて、社会のルールに則って自らの発言や行動を適切に律する。
ストレス
コントロール力
ストレスの発生源に対応する力
例)ストレスを感じることがあっても、成長の機会だとポジティブに捉えて肩の力を抜いて対応する。

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一般職に求められる能力(求人像)

一般職は、事務であれば補助業務従事者であり、販売であれば店頭の社員等に多く見られる職種です。本講座に参加された方が目指すのもこの職種になります。

一般職に求められる能力は、総合職のような体系的な能力ではなく、与えられた部署の仕事を効率よく進める能力で、次の3つの能力にまとめることができます。

  1. 積極性
    与えられた仕事をただ単に繰り返すのではなく、「ここをこう変えたらよくならないか」「このようにしたらお客様により喜んでもらえないか」等「工夫・改善に前向きに取り組む力」
  2. 責任感
    「自分がやろうとして取り組んだこと」や「自分がやるべきこととして与えられたこと」を「困難なことがあっても最後まであきらめずに取り組む力」
  3. 協調性
    「明るく、他の人と協調して物事に取り組む力」

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