実習は、学生を看護の実践者として、さらには人間としてその可能性を育んでくれる場であり、学生が看護の対象となる病気とともに生きる人、地域で健康を気遣いながら生活している人、さらにはそれらの人々が生活する地域を理解していく場として位置づけている。さらに看護学実習は、学生が臨床の場で看護実践過程や医療職の協働・連携を学び、看護の本質を修得していくために欠かせない教育である。本学では、看護学実習で学生が身につけることとして下記の7項目を設定している。
本学で必修としている実習は、教育課程の編成の考え方に従って第Ⅰ段階から第Ⅲ段階の構造としている。その他選択科目として保健師に関する実習、助産師に関する実習、養護教諭(一種)に関する実習を配置している。
第Ⅰ段階の実習の場は、コミュニティを支えるフィールドとして、医療機関である病院、高齢者が過ごす介護老人保健施設・通所リハビリテーション施設、地域で暮らす子どもの活動の場である保育所・幼稚園を選択している。地域で暮らす人々とその地域にある病院や施設との繋がりを知る機会を得ながら、子どもから高齢者まで様々な年代の人々と対話することで、地域で暮らす人々に関心を向けていくことをねらいとしている。
実習時期 | 実習科目 | 実習目的 |
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1年生 前期 |
医療看護実習Ⅰ | 病院オリエンテーション、看護業務・看護場面の見学を通して、病院や看護師の役割について学ぶ。また患者とのコミュニケーションを通して入院生活や病気の体験を知ることを目的とする。この実習を通して学生自身がこれから学んでいくべき課題を見出すことをねらいとしている。 |
1年生 後期 |
コミュニティ看護実習Ⅰ | 何らかの健康障害により、自宅での生活が困難となった高齢者の施設での生活について理解を深める。また、高齢者の活動の特性と活動の場を学び、ケアに見学・参加することを通して、生活施設におけるリハビリテーション支援や疾病・障害予防のための看護ケアを理解する。さらに、施設の役割と機能、施設内の他職種間の連携、医療機関との連携体制、介護予防活動等についても学ぶ。 |
1年生 後期 |
成育看護実習Ⅰ | 地域で生活する人々(乳幼児)との関わりを通して、乳幼児の健康な生活のあり方を理解し、その支援について学ぶ。学生は保育所・幼稚園で保育士、幼稚園教諭の活動を見学することで、乳幼児の成長・発達に関する理解を深め、乳幼児とのコミュニケーションの実際を学ぶ。 |
第Ⅱ段階の実習の場は、医療機関である病院が中心である。実習のねらいは、主に病気の診断・治療のために入院や通院をしている人々を対象に、対象者と関係を築きながら、健康の回復、苦痛の緩和、疾病の予防、健康の増進を支援する看護過程の展開を学ぶことにある。
実習時期 | 実習科目 | 実習目的 |
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2年生 後期 |
コミュニティ看護実習Ⅱ(高齢者) | 老年期にある人の加齢による身体機能の変化、健康障害、生活障害および心理・社会面の変化から健康上の課題をアセスメントし、対象の価値観を尊重しながら、残存機能を活動するための援助ができる能力を養う。 |
2年生 後期 |
医療看護実習Ⅱ(精神) | 精神障がいをもつ人と人間関係を構築するプロセスの中で、自己洞察、他者理解を深める。また対象者の体験に寄り添い、生活援助を実践しながら、心身の健康状態や心理・社会的要因が生活や対人関係に及ぼす影響を理解し、セルフケアの維持・向上、自立や自己実現に向けた看護援助について考察する。さらに、精神科病院や地域で行われているさまざまな治療的アプローチや支援、チーム医療における看護師の役割や他職種との連携、精神障がいをもつ人が利用できる社会資源について学ぶ。 |
3年生 前期・後期 |
医療看護実習Ⅱ(急性期) | 周手術期あるいは急性期にある成人期から老年期の患者を受け持ち、侵襲に対する多様なリスクと生体反応、回復に影響を及ぼす患者・家族の特性をアセスメントし、苦痛を緩和して患者・家族のもつ回復力を最大限に引き出すための看護援助を学ぶ。 |
3年生 前期・後期 |
医療看護実習Ⅱ(慢性期) | 慢性的な健康問題を抱える人を受け持ち、疾患管理や症状管理、リハビリテーションなどを必要とする患者の身体、生活、心理的変化を疾患や治療の特徴、ライフサイクルや社会的役割などを、患者が置かれた状況と関連付けて理解し、患者の健康ニーズに応じた看護援助を実践するために必要な知識や技術を学ぶ。 |
3年生 前期・後期 |
成育看護実習Ⅱ(小児) | 医療施設で療養する子どもを身体的、心理的、社会的側面から全人的に理解し、必要な看護を判断するとともに、子どもとその家族に安全かつ安心できる看護実践能力の基礎を修得する。子どもと家族がよりよい療養生活を送るための、社会資源や多職種連携のあり方について学び、それらを通して看護師の役割について理解する。 |
3年生 前期・後期 |
成育看護実習Ⅱ(母性) | 周産期にある母子との関わりや周産期看護に携わる看護職との関わりを通して、母子の生理的変化や心身の適応過程ならびに健康ニーズを理解し、その健康状態の維持・促進や親役割を取得するうえで必要な看護の知識・技術・態度を学ぶ。 |
第Ⅲ段階の実習の場は、医療機関の地域連携室や在宅及び地域と関連する保健・医療・福祉施設等をフィールドとしている。実習のねらいは、3年生までに学んだ看護の知識・技術を統合しながら、総合実習で地域・在宅への看護の継続性を学び、さらに課題探究で看護実践を深く探究していくことにある。
実習時期 | 実習科目 | 実習目的 |
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4年生 前期 |
総合実習(地域・在宅) | 看護専門職として地域で暮らす人々やその人を取り巻く保健・医療・福祉の課題に向かう態度を身につける。その上で、健康の観点から「人々の暮らしと文化」を支える看護支援のあり方を学ぶ。 |
4年生 通年 |
課題探究(実習) | 「総合実習(地域・在宅)」の中から見出した看護課題をとりあげ、学生のテーマに沿ったフィールドにおいて実践活動を行い、フィールドの文化や対象者の特性をつかむ。学生が関心をもった各専門科目群の関連施設でフィールドワークを行うことにより、実践への深い関心と看護への探究心を育成し、卒業後のキャリア開発につなげていく。 |
保健師に関する実習のねらいは、保健所の機能と役割、地域特性と健康課題、行政機関における看護職の役割、保健医療福祉の連携、地域看護診断等について学び、保健師活動に必要な知識・技術を修得することにある。
助産師に関する実習のねらいは、妊産褥婦と胎児・新生児の心身の経過を判断し、妊産褥婦と胎児・新生児の看護ニーズから健康課題・問題を理解し、必要な援助を計画・実践・評価する能力を養うことにある。
養護教諭(一種)に関する実習のねらいは、学校現場の実際とその中での学校保健の位置づけ、保健室の機能、養護教諭の役割について、大学で学んだ理論・技術を実習校での実際の体験を通じて応用し、さらに理解を深めることにある。
実習時期 | 実習科目 | 実習目的 |
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(保健師) 4年生 前期 |
公衆衛生看護活動論実習 | 地域で生活している人々の健康課題を把握し、保健指導技術や他職種との連携、マネジメント能力といった公衆衛生看護活動における看護職の役割を理解する。 |
(保健師) 4年生 前期 |
公衆衛生看護管理論実習 | 保健所の機能と役割、地域特性と健康課題、保健師活動について学ぶ。行政機関における看護職の役割や保健医療福祉の連携について理解し、地域の人々の健康課題を把握するための地域看護診断を行い、セルフケア能力を高めるための公衆衛生看護管理技術を学ぶ。 |
(助産師) 4年生 前期 |
助産学実習 | 妊産褥婦と胎児・新生児の心身の経過を判断し、ニーズ、健康課題・問題を理解し、必要な援助を計画・実践・評価する能力を養う。医療施設において正常分娩を中心とした助産援助を安全・安楽・満足を考慮して実践するために必要な基礎的能力を修得し、正常な経過に加えて、異常の予測と判断ができ、適切な対応ができる能力を修得する。また、妊産褥婦と新生児に対し必要な保健指導が実践できる能力を養い、助産師としての役割と責務について理解する。 |
(養護教諭) 2年生 後期 |
特別支援学校体験活動 | 特別支援学校の現状に触れ、養護教諭にとって必要不可欠な、「障害(特性)理解」、「障害に応じた適切な関わり」について学ぶ。また、特別支援教育における養護教諭の役割を理解する。 |
(養護教諭) 4年生 後期 |
養護実習 | 学校教育、学校保健、児童生徒の健康課題について学び、それらに関わる養護教諭の役割と保健室の機能を理解する。保健室業務を体験し、実践的な指導力の向上をめざす。また、実際の児童生徒と接することで児童生徒への理解を深め、養護教諭としての適切な対応について学ぶ。 |
1年生から4年生まで、年間を通して実習があります。
4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | 1月 | 2月 | 3月 | |
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1回生 | 医療看護 実習Ⅰ [1週間] |
成育看護実習Ⅰ[1週間] | ||||||||||
コミュニティ看護実習Ⅰ [1週間] |
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2回生 | コミュニティ看護実習Ⅱ(高齢者)[2週間] | |||||||||||
医療看護実習Ⅱ(精神)[2週間] | ||||||||||||
特別支援学校 体験活動 [1週間] |
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3回生 | 医療看護実習Ⅱ(急性期)[3週間] | |||||||||||
医療看護実習Ⅱ(慢性期)[3週間] | ||||||||||||
成育看護実習Ⅱ(小児)[2週間] | ||||||||||||
成育看護実習Ⅱ(母性)[2週間] | ||||||||||||
4回生 | 助産学実習 | |||||||||||
統合実習(地域・在宅)[4週間] | ||||||||||||
養護実習[3週間] | ||||||||||||
公衆衛生 看護実習 [2+1週間] |
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課題探求 |
兵庫県内の病院や社会福祉センターなどで実習を予定しています。(※施設名称は順不同)