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2008年7月30日
学園広報 橘

子ども達の心と身体を作る「給食づくり」を目指して!
「2008年度 学校給食調理研修会」開催

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給食つくり07

そこで今回は、研修会の主催者である教育委員会指導部健康教育課の協力を得て、子ども達の「食育」に関わる情報として、「学校給食」のことをより多くの方に知っていただければという願いを込め、研修会を取材させていただきました。

文部科学省と厚生労働省も提唱。
国民的運動に発展している「食育」活動

「食」に関わる活動は人間が生きるために不可欠ですが、近年は経済や社会の変遷に伴う生活様式の変化が、子どもの生活にも大きな影響を及ぼし、「偏食」や「孤食」問題へと拡大し、年齢に関係なく生活習慣病が社会問題となるなど、「食育」の重要性が叫ばれています。

特に食生活は生活習慣と密接に関わっており、健康だけでなく人間関係の形成力にも関わることが考えられるとして、幼い頃から意識を培うことが重要であるといわれています。

神戸女子短期大学もこうした「生きる力」の基礎となる、「食」に関わる意識の向上を培うことを目的として、地元の保育所や幼稚園・小学校をはじめ、高齢者の方を含め自治会との連携協力を得て、地域に貢献すべく食育活動に力を尽くしています。

学校給食は子どもの「食育」活動の中心的役割

神戸市教育委員会も、未来の神戸を担う子ども達の健やかな心と身体を作るため、様々な取り組みを行っており、「食育」活動にも力を注いでおられます。特に、小学校生活において大きな役割を果たしているのが「給食」です。 毎月献立表と共に配布される給食便りといったプリントは、各小学校の学校栄養職員の方が各々工夫して制作しており、子ども達と一緒に読んでもらうことで家庭の中でのコミュニケーションを深め、「食」への興味や関心を育てることで、意識の向上を図りたいという思いが込められています。

研修会では、食の基本「安全・安心・おいしい」をみんなで再確認

「おいしい給食は安全な食作りがあってこそ。なによりも衛生第一」を指導上の最重要項目として大切にしているという管理栄養士の主催担当者は、研修会場となる調理室に入る時の注意として「現場と同じ心構えで」と声をかけ、帽子とマスクをきっちりと着用し、正しい手洗い励行を徹底するよう指導し呼びかけたということでした。 「『食中毒はあってはならないこと』であり、予防の徹底は一人ひとりが意識し実行することがなによりも重要」と厳しい表情で話す姿勢に、意識の高さを感じました。

技術の向上を目指し、献立立案者と調理者がコミュニケーションを深める場

準備された16種類のレシピは、8班に分かれて2種類ずつ調理が行われました。 調理終了後は1皿ずつ見本を提出することで、全員が全ての料理を見ることができるようになっていました。
そこでは、栄養士さん(以下 栄)と調理師さん(以下 調)がこんな会話を交わしておられました。

 栄:「この煮物、おいしそうにできましたね」
 調:「そうでしょう。実際においしいですよ。うまくできて嬉しい」
 栄:「別の班では、味が思ったより濃くなってしまったというお話をされていたのを聞きましたよ」
 調:「調理がちょうどいい状態で終わったとしても、子どもたちが食べる時間までを考えると30分位の時差が生じるでしょ。それを計算して子ども達が食べる頃ちょうどいい味になるよう、余熱で味がしみて落ち着くように考えて調理したの」
 栄:「なるほど。作りたてより少し時間をおいたほうが味ってしみておいしいですよね。」
実際の給食調理室さながらの光景が、部屋一杯に広がっていました。

「この研修会は『立案した献立が、実際に現場で調理をする際どうなのか』を一緒に考えて、より良いメニュー作りを実現していくことが一番大きな目的です」と指導課長が説明してくださいました。

「学校給食」を通して子どもたちに伝えたい!食べることの「大切さ」と「楽しさ」

「がたたん」?「スズカキア」?
普段はあまり聞いたことも見たことも無いような、一見「不思議」な感じのするネーミングの料理に出会いました。
それらは、神戸市や兵庫県以外の他府県の郷土料理や、外国の名物料理であるということでした。
「がたたん」は、漢字で「含多湯」と書き、たくさんの食材が含まれた温かい汁物料理で、北海道の郷土料理です。
「スズカキア」は、ミートボールやイカと野菜がふんだんに入ったトマトベースのスープで、ギリシャ料理ということでした。
「子ども達に地元の食材を知ってもらい、郷土の味を伝えていくことはもちろん大切ですが、その上で日本の他の都道府県や外国など、地域やその国で愛されている食材や料理にできるだけたくさん出会うことで、『食べる』ことの楽しさや興味、関心の芽を育ててあげられたらと考えています。
『予算を守って安全で栄養価が高い。なにより味も見た目もおいしい』給食を子どもたちに届けたい。してあげたいことがたくさんありすぎて困っています。」と指導課の管理栄養士さんはにっこり笑顔で話しておられました。

「生きる力」を育てるために、食べる楽しさを知ろう!

子ども達の笑顔を思い浮かべながら、限られた予算の中で、管理栄養士の皆様は知恵と工夫を凝らしてメニューを考案し、子ども達が食べるとき一番おいしい状態で出してあげられるようにと、調理師の皆さんが愛情を込めて作っている給食。
「『アレルギーへの対応』や『コスト』『食材の安全性』など、考えなければならないことや課題は常に山積みです。解決までには努力と時間を必要としますが、今後も管理栄養士と調理師が協力し、あきらめないで向き合っていきたいと考えています。」と笑顔で課長は最後を締めくくられました。

「楽しく食べる」ことは健康にとって一番大切なことであり、「意識」して食べる習慣を身につけることは重要です。 家庭で実践する際の「食育メニュー」のよいお手本として、ぜひとも参考にされてはいかがでしょうか。

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関連リンク

文部科学省 学校における食育の推進

厚生労働省 総務課生活習慣病対策室―栄養・食育対策の推進

農林水産省


 

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