長瀬 荘一
わが国では、児童生徒が身につける「基礎・基本」の意味や定義が統一されないまま学校教育が行われてきた。義務教育における「基礎・基本」とは小・中学生本人や保護者が理解し得るものでなくてはならない。また、各学年ごとの内容が段階別に明示されていなければならない。現状では、学習指導要領に示された内容を「基礎・基本」と解釈するのが妥当である。「基礎・基本の確実な定着」を図るためには学習指導要領と教科書の単元を基にした具体項目を抽出する。その上で、児童生徒の学習の習熱度と教師の指導効果を確かめるための評価規準及び評価基準を設定する。
長瀬 荘一
平成14年度から実施の小・中学校の教育課程において「各教科の学習の記録」の観点別学習状況評価と評定は絶対評価で行われ、「総合的な学習の時間」は文章記述されることになった。観点別学習状況評価では評価規準、評価・指導目標、評価・指導計画、評価基準等を設定する「指導目標と評価目標作成のステージ」、授業計画を立て教材・指導法を用意して授業を実施する「授業の立案と実践のステージ」、評価資料を収集して観点別に評価する「各観点の評価と評定のステージ」の段階的手続きが必要となる。「総合的な学習の時間」の評価では、「学習活動」「観点」「評価」の3項目について、特に児童生徒のよい点、学習に対する意欲や態度、進歩の状況を取り上げる。
薮内 浩
平成12年10月から「住宅性能表示制度」の運用が開始された。これは住宅の品質確保を目的にして制定されたわが国ではじめての制度である。本報では、この概要を紹介し、その問題点と今後の課題を考察した。特に、この制度によって住居材料の進展がどのように影響されるのかという視点から、この問題を考えてみた。環境との共生を設計コンセプトとする建築、省エネルギー・省資源の建築、長寿命建築、廃建材のリサイクルなどの今後の目標を達成する住居材料のあり方を考える一環として、本報文を(そのⅡ)として報告する。
蔭川 美智代、佃井 紀子、薮内 浩
単繊維の強伸度は、繊維の様々な特性の中で、最も基本的な要素である。「被服材料学実験」での強伸度の指導において、学生が理解しやすい実験となるように工夫と検討を加えた。KSセニメーターを用いた測定で、3種類の繊度の異なるナイロンフィラメントを選び、適切な実験条件を選ぶことにより、本目的が達成されることがわかったので、本報で報告する。
田中 智子、逵 牧子、茶山 健二、辻 治雄
手作り豆腐作成条件の違いによるミネラル含量の変化とおいしさについて検討を行った。“ご”の加熱温度は非加熱、85℃、100℃と3条件について検討したが、加熱温度に比例して豆乳中のミネラル含量は多くなった。また、100℃加熱の豆腐はしっかり凝固し離水量も少なく、ミネラル総量は多くなり中でもNaとK含量において顕著であった。磨砕時間の異なった豆乳中のミネラル含量は、5分より3分でZn、Fe、MnおよびNa含量が多くなった。また、豆腐中ミネラル総量は、凝固温度75℃の方が85℃に比ベFeとNaおよびCa総量は明らかに多くなった。また、官能検査では、凝固温度75℃の方が甘味があり、有意水準5%で風味と総合評価の有意差が認められた。
中村 智英子、小澤 美貴、中尾 美千代、山本 隆子
栄養士業務の基本的作業である献立作成には、食品重量の把握が不可欠であり、実際の重量や容積を、目安重量(目測量)から出来るだけ正確に把握しなければならない。したがって調理学実習、給食管理、臨床栄養学実習、栄養学実習および栄養指導実習などの授業で、食品重量を出来るだけ正確に目測する教育が行われている。この度、献立作成や食事調査方法を学習した本学の学生41名を対象に食事調査から、「食品目安重量」の学習効果の程度について検討した。記述式の食事調査と平行して、各食事の写真を撮影し、写真から推定した検者らの食品目安重量(以下検者目安重量)と、被検者らの食品目安重量(以下被検者目安重量)と比較し、学習効果の尺度とした。その結果、野菜類などは比較的重量が把握できているが、形態の違いや水分含量によって把握しにくい食品があることが明らかとなった。また、授業などで1個当りの目安重量(常用重量)として学習した食品については、実重量を無視して、常用重量を用いる傾向がうかがわれた。
横井 亮子、牛尾 真弓、薮内 浩
布の「保温性」は被服の大切な性能の一つである。その「保温性」測定方法について、従来の測定法を基にし、測定装置の改良を行った。改良した測定装置は、従来の「カタ温度計法」と「牛乳瓶法」での測定装置の問題点を解消し、また「保温性」と実際の被服条件との関係をより明確に評価することが可能となった。さらに、最近の技術の向上による「保温性」と「軽さ」を強調した布についても同様に測定した結果、妥当な結果が得られたので、それらの研究を本論文で報告する。
浅木森 和夫
インターネットを中心とする情報社会の創生は、教育分野においてもその内容だけではなく教育システム全体の再構築を求めようとしている。そのような状況の中、情報通信技術を利用して、誰もがどこからでも、いつでも学習することができる学習システムの構築を試みた。そして、現在担当している授業科目において、そのシステムの使用を試みた。ここでは、構築した学習システムの概要ならびに運用の結果について報告を行う。
小澤 美貴、中村 智英子、中尾 美千代、山本 隆子
この度、高精度体成分分析装置Body Composition Analyzar InBody 3.0:ボディコンポジションアナライザー(MPジャパンkk)を用いて、本学食物栄養学科学生 161名を対象に、体重、体脂肪、骨量、その他体成分の測定を行った。従来、肥満の評価は身長、体重からBMI法で算出した肥満判定基準に沿っているが、体重や体脂肪、腹部脂肪率、筋肉量、骨量等の情報を併せて肥満を検討すると、“普通体重”と診断されても、腹部脂肪率が高く、骨量が低い場合や、また、“やせ”と診断され体脂肪量は低いが、腹部脂肪率は“普通体重”と変わりなく高く、骨量は低い等の状況が明確に理解できた。この様な情報は、体重をコントロールするための具体的示唆を与えてくれる。若年女子の“やせ”は年々増加の傾向にあるが、やせるだけのダイエットは健康に害を及ばし兼ねない。本研究により、体成分に関するこれらの客観的情報を提供することにより、健康意識を高め、肥満指導がより効果的に行えると考えられた。
才新 直子、西川 貴子
栄養士養成課程の必修科目である給食管理実習で実施した献立内容について、過去5年間の状況を検討した。栄養素量については、たんばく質の充足率が基準量を上回っていたが、摂取目標範囲内で、脂質エネルギー比が上限値であった。カルシウムと鉄の充足率はやや低かったが、ビタミン類の充足率は望ましい結果であった。食品の使用については、魚介類、肉類の使用量が多く、大豆・大豆製品が少なかった。野菜の使い方、使用食品数は良好であった。主菜に使用する食材料や調理形態については、特に偏りなく適正な状況であった。主菜に使用するたんばく質源食品と、カルシウム・鉄不足を補う食品の使い方が今後の検討課題である。
逵 牧子、田中 智子
1999年3月、乾燥イカ菓子が原因による食中毒事件が発生したが、水産乾燥食品の細菌検査の実態を調査したわが国の資料は少なく、汚染の実態は明らかではない。そこで、市販の「水産乾燥食品」(菓子)等の細菌汚染実態調査を行った。その結果、微生物指導基準で定められた105/g以下を超えたのは、50検体中9検体で全体の18%と高率の細菌汚染が見られた。原材料別に見ると104/g以上検出した検体は、イカ 38.4%、タラ0%、その他魚介類33.3%、牛肉0%で、イカを原料とした製品の汚染率が高かった。又、分離細菌を同定した結果、Micrococcus属64%、Bacillus属23%、酵母8%、その他5%であった。この結果から、乾燥する以前の原料の付着菌を排除し、乾燥温度を厳密に調整して菌を死滅させるなどの予防策の検討が必要である事がわかった。
中脇 智子、小橋 賢子
ドレーピングとはボディーや人体に布地を直接かけ目的とする衣服のデザインを仕上げる技術のことである。衣服(立体構成=洋服)を新しくデザインする場合には欠かす事のできないものである。今回はウェディングドレスを例にとり、その製作方法について順をおって述べた。さらに完成したパターンをCADに入力することを試みた。ドレーピングとコンピューター機器との関連作業については更なる研究が必要であり、次の機会にむけて努力するものである。
半田 博
昨年度、われわれは「総合演習」のカリキュラムを編成した。本稿は、左記のカリキュラムに基づいて1年間実践してきた授業の記録とその問題点についての報告である。
森内 安子
紅茶の浸出液色(水色)に影響およぼすと考えられる、水質のpH、硬度および有機酸添加による影響について、それぞれの水色を色差計と分光光度計で測色しその要因を検討した。
紅茶にレモンを添加すると黄色みをおびてくるのは、pHがレモン添加により3.0付近になり、またレモンに含まれるアスコルビン酸の影響によるものと考えられる。また紅茶水色に影響をおよぼす硬水では硬度に関係するカルシウムに大きな要因があると考えられた。