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2016年6月11日
学園広報
神戸女子大学古典芸能研究センター開設15周年記念事業
「食満南北著『大阪藝談』」刊行記念講演会開催
神戸女子大学古典芸能研究センターは、2016年度、開設15周年を迎えました。これを記念して株式会社和泉書院より「食満南北著『大阪藝談』」を刊行し、2016年6月11日・土曜日に刊行記念講演会を開催しました。会場となった教育センターのある三宮キャンパスには約120名の受講者が訪れ、盛況となりました。
食満 南北は、明治から昭和にかけて活躍した狂言作者であり、評論家です。十一世片岡 仁左衛門、初代中村 鴈治郎の専属の作者で、特に鴈治郎の数々のエピソードはほとんどが南北の書き残したものです。今回刊行された「大阪藝談」は、脱稿後70年間行方不明となっていた自筆原稿で、その内容は歌舞伎・文楽にとどまらず、落語・俄・踊りなど大阪文化のあらゆる分野に及んでおり、往時をしのぶ大変貴重な資料です。
講演会ではまず、松竹株式会社演劇製作部芸文室の松岡 亮氏による講演「歌舞伎の世界の裏と表」が行われました。資料として配付した歌舞伎座と大阪松竹座の2016年6月、7月の歌舞伎公演チラシを例に、本番までに脚本、振付、演出、舞台稽古がどのように展開していくかといった、一般に知ることのない芝居作りの舞台裏の話題を、受講者は熱心に聴いていました。
続く、女優で落語家の三林 京子(桂 すずめ)氏による一人噺「大阪芸能すずめ噺」では、落語の道に入られた経緯やエピソード、大阪の芸能についてご自身の思うところをユーモアを交えて語られました。そして最後に、文楽、歌舞伎、落語やさまざまな演劇は実際に生で見ることが大切であると述べられました。
休憩の後は、古典芸能研究センター特別客員研究員の阪口 弘之名誉教授が聞き手となって、「大阪芸能よもやま談義」と題するトークセッションを行いました。先に登壇された松岡氏、三林氏に加えて、食満 南北の縁者である食満 厚造氏と株式会社毎日新聞社学芸部専門編集委員の畑 律江氏も登壇され、一時間にわたり、食満 南北の仕事や大阪文化の行く末について、それぞれの立場から語り合いました。原稿「大阪藝談」の偶然の発見、大阪の文化や芸能に寄せる南北の思いとその功績、南北が活躍した大阪文化華やかなりし時代を偲びつつも、これから上方の伝統芸能をいかに守り発展させていくかなど、所定の時間では語り尽くせない充実した内容となりました。
古典芸能研究センター展示室では「食満南北」展を開催しており、受講者は、講演会終了後、南北ゆかりの資料を熱心に見学していました。
プログラム
- 講演:歌舞伎の世界の裏と表
- 松岡 亮 松竹株式会社 演劇製作部芸文室
- 一人噺:大阪芸能すずめ噺
- 三林 京子(桂 すずめ)女優(落語家)
- トークセッション:大阪芸能よもやま談義
- <登壇者>
松岡 亮
三林 京子(桂 すずめ)
食満 厚造 食満 南北 縁者
畑 律江 株式会社毎日新聞社学芸部専門編集委員
<聞き手>
阪口 弘之 古典芸能研究センター特別客員研究員、神戸女子大学名誉教授
関連リンク
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