2025.01.10 史学科 川森
「六波羅蜜寺で空也と出会う」
12月14日(土)に「日本民俗学資料研究」の授業の一環として、京都の六波羅蜜寺を訪ねました。見学実習の目的は、かの有名な「空也像」をはじめとする重要文化財の仏像群に寺宝館で出会うことと、12月13日から30日まで期間限定で厳修される「空也踊躍念仏(重要無形民俗文化財)」を見学することです。
空也(903-972年)は、庶民の間に遍歴遊行して仏教の教えを広める活動をおこないましたが、その際に「踊り念仏」という形で庶民を熱狂に巻き込んだとされます。その「踊り念仏」が六波羅蜜寺の年末の年中行事としておこなわれているのが「空也踊躍念仏」で、当時の民間念仏の雰囲気を追体験する貴重な機会として授業のプログラムに組み込みました。
まず、仏像見学です。「空也像」はやはりインパクト十分、仏像界のトップスターの座はゆるがない人気でしたが、そのほかに薬師如来坐像と四天王像、地蔵菩薩像、また仏像ではありませんが、平清盛坐像、運慶坐像など、リアリズム彫刻の極みともいえる彫刻群に魅了されました。このように実物を前にすると、ミケランジェロなどイタリア・ルネサンスの巨匠たちの作品群も比較対象として思い浮かびます。
そして、午後3時半から、住職の親しみやすい解説を枕に、5人の僧侶による踊躍念仏が開始されました。本殿の見学客は満席の状態で、空也が情熱を傾けた踊り念仏が内陣で展開されました。見学客とも一体となった状況で、このような体験は今後、歴史の現場に参入して学習を進めていく拠り所になるように思われます。
師走の寒さの中で、それぞれの1年を感慨深く振り返る機会にもなった実習でした。
六波羅蜜寺公式による紹介動画
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