水野 邦太郎教授の論文が、IGI Global (アメリカのペンシルベニア州に本社を置く国際的な学術出版社)が出版する学術書に掲載されました
2025.02.12 教育学科
水野 邦太郎教授の専門分野は、英語教育学。
特に、中学校・高校の英語教育、ICT・AI を活用した教授法の研究です。
今回の論文では、「中等英語科教育法」という授業の中で、姫路において長年英語教師を務められ、英語教育界の最高の栄誉とされているパーマー賞を受賞された稲岡 章代教諭の授業実践を、PCK（Pedagogical Content Knowledge: 教育学的内容知識）という授業実践の基本的な概念から分析し、論にまとめました。つまり、「理論と実践の統合」の観点から、具体的な授業実践について考察したのです。
以下に本論文のタイトルと要旨の英語と日本語訳を示します。
Title
Unlocking Ms. Inaoka's PCK: A Case of Grammar Instruction in a Japanese Junior High School
タイトル
稲岡教諭のPCKを解き明かす：日本の中学校における文法指導の事例
筆者
水野 邦太郎 (神戸女子大学)
Kunitaro Mizuno (Kobe Women's University, Japan)
Abstract
This paper explores the integration of Pedagogical Content Knowledge (PCK) in pre-service English teacher education in Japan. It focuses on the design and delivery of a course using PCK to enhance the preparation of future English teachers. The study centers on an introductory lesson on the “be going to” form by Ms. Inaoka, a renowned teacher, to illustrate the practical application of PCK. Through the analysis of video recordings and a collaborative online platform, students engage with and reflect on teaching strategies, enhancing their understanding of PCK. The paper also discusses the Pedagogical Reasoning and Action model proposed by Shulman, which outlines the transformation process through which teachers develop PCK, emphasizing comprehension, transformation, and instruction. This study contributes to the understanding of how theory and practice are integrated in teacher education and how effective pedagogical strategies are developed through the lens of PCK, thus preparing teachers to be more responsive and effective in diverse classroom settings.
要旨
本論文は、日本の英語教師養成課程における「教育学的内容知識（PCK）」の統合について探究したものである。特に、PCK を活用した授業の設計と実践が、将来の英語教師の育成にどのように貢献するかに焦点を当てている。本研究では、著名な教師である稲岡教諭による「be going to」の導入授業を取り上げ、PCK の実践的な応用を具体例として示した。稲岡教諭の授業の映像記録や、オンライン協働学習プラットフォームを活用しながら、大学生が授業の進め方について考察・議論することにより、PCK の理解を深めることを目指した。さらに、Shulman が提唱した「教授的推論と行為モデル（Pedagogical Reasoning and Action model）」についても論じている。このShulmanのモデルは、教師がPCKを獲得・展開する過程を示しており、「理解・転換・指導」の重要性を強調している。本研究は、教員養成において理論と実践がどのように統合されるのかについて明らかにし、PCK の視点から効果的な指導法がどのように展開されるのかを解明するものである。これにより、多様な学習環境に対応できる教師の育成に貢献している。
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