2023.02.18 臨床心理センター
2023年2月18日・土曜日、神女大ポートアイランドキャンパスにおいて地域一般市民を対象とした心の健康に関する啓発活動や情報発信の一環として「スマホのある子育てを考える」をテーマに、神戸女子大学臨床心理センター主催の講演会を開催しました。
講演会には、国の識者会議での要職も務め、ソーシャルメディア研究会代表としてネット問題と教育を中心に幅広い活動を実践しマスメディア出演や著書も多数ありこの分野で第1人者の兵庫県立大学准教授の竹内 和雄氏を講師にお招きし、また、同研究会オフラインキャンプ副リーダーを務める神戸女子大学3年生のK.Tさんも登壇いたしました。
講演会は全員参加型のグループワーク形式で行い、笑い溢れる和気あいあいとした雰囲気の中、講師からネット使用の現状と問題点をデータで示し、講師の長年の生徒指導体験や研究データからの助言を述べつつ、講師が参加の方々の日頃のこどもへの関わり方や実感などを尋ね、それに応え交わす対話によって会が一体感を持って進んで行きました。また研究会での活動も紹介され、ネットの使えない離島でのキャンプ生活におけるネット依存傾向のこどもの変化や成長など、多彩な話題をこども側の視点や発言を紹介して具体的に語られると、参加された皆さんは真剣に耳を傾けるとともに、スマホやSNSが他者とのコミュニケーションをとり社会的な生活する上で欠かせないものとなっている今、それらとうまく共存していくための課題は何か、こどもとどのように向き合えば良いのか、家庭でのルールはどうあるべきか等について随所で活発な意見交換を行い、予定していた90分間はあっという間に過ぎていきました。
最後の締めくくりとして講師から語られたのは、「スマホの問題は、“心”の問題」であるということでした。一番大切なことは、家庭でのコミュニケーションであり、踏み込み過ぎないけれどこどもが困っているのは親として目を向け理解しているというくらいのほんの少し距離感を意識した会話を心がけることで、こどもは「見守ってもらっている」という安心感が得られると同時に、親はこどもの発するサインを見逃さず受け止めることができるとのことでした。
「今の仕事に活かすため」、あるいは「これからの子育ての参考に」など、参加の目的は様々でしたが、皆さんは一様に講師のこのメッセージに大きくうなずいておられました。今回の講演を通じて、育児や生活のなかで、スマホにまつわる色々な悩みを解決するヒントやコツを学び、持ち帰ることができたのではないでしょうか。
講演会の総括として、巣黒 慎太郎臨床心理センター長からは「まずこどもの話を聴いてから親の言い分を伝える」という相手の言い分に耳を傾けるコミュニケーションは、カウンセリングの基本でもあり、互いの意見を尊重し合い、相互に理解を目指すアサーティブ・コミュニケーションの大切さを改めて認識できたと述べられました。
なお、この講演会では、お子さま連れの方のために設けた託児ルームも好評で、利用された皆さんからはお礼の言葉をいただきました。