2019.9.7 社会福祉学科
社会福祉学科4年生3名と3年生4名が2019年9月4日・水曜日深夜に日本を出発し、現地時間の6日・金曜日午前と午後に2ケ所の児童福祉施設を訪問してきました。
訪問先は「地域とつながりながら支援を実践している児童福祉施設」という学生たちのリクエストに基づき、現地在住のコーディネーターの方に交渉して頂きました。
1か所目は2003年にオープンした「SOS子ども村ベルリン」で、子ども村ファミリーという、家庭で暮らすことが困難な児童の入所施設、地域の親子支援青少年支援、相談支援といった様々な活動をこなす団体です。1階はオープンスペースとカフェになっており、地域の住民が誰でも食事に来たり、子どもたちが遊びに来ることができるよう設計されていました。
オープン当初、近隣の子どもたちが施設内に入り、施設で飼っていた動物を攻撃するということが起きました。その時にスタッフが出した結論は、「侵入できないように壁を作る」ではなく「地域の子どもたちも一緒に遊べる施設つくり」でした。社会問題が多発する地域だからこそ、地域の方と一緒に議論して決めた結果、施設内だけでなく、施設前の道路を「遊び道路」と名付け、改造していきました。
その結果、現在では、親子ルームという家族支援の場での移民の方へのドイツ語講座、赤ちゃんと母親の早期支援、移民の方への裁縫教室、親の母語を忘れないための子どもへのアラビア語講座、食育促進教室、医師への恐怖が高い子どものためのテディのお医者さん等々、子どもと家族のために必要と思われるあらゆるサポートが実践されていました。学生たちはニーズに応じた支援のひとつひとつについて質問しながらその柔軟な対応に感心することしきりでした。
また、子ども村では保育園も運営していますが、「子どもたちが何をしたいのか、を考える。子どもと一緒にルールつくりをしていく」という「保育士の民主主義の原則」を聴き、その実践内容を見学したことがどの学生も大変印象が深かったようです。
2か所目は3つの小学校が運営する学童保育でした。3つの小学校とは「言語障がい」「聴覚障がい」「モンテッソーリ教育」というインクルーシブ教育を実践しているラインフェルダー小学校です。学童も3つのグループがありますが、各学校の子どもたちが保護者の希望と学童の判断で3グループに分けられています。広大な芝生広場でローラースケートに講じる子どもたち、学校からゆうに20分は歩かないとたどり着かない森の中の落ち葉で遊び、真冬も森の中の小屋で毎日過ごす子どもたち、ボードゲームに講じる高学年の子どもたち、の放課後の時間を見学しました。ベルリン市内でもこういった学童は珍しいと説明がありましたが、目いっぱい遊ぶ子どもたちの表情と声に学生たちは、子ども時代に大人が保障してやらなければならない大切なものは何かを深く感じたようでした。
9月7日・土曜日の夕食はみんなで、SOS子ども村と連携したホテルロッシに出かけました。ここは、障がいのある青少年や移民の子どもたちの就労支援のために作られたホテルで、ホテルの中の様々な業務をこなしながら、就労につなげる練習をしています。ホテルロッシのレストランでみんなで美味しくドイツ料理を頂き、従業員の青年にお礼を言って帰ってきました。
学生たちの希望に沿って、見学先の交渉と、わかりやすい通訳をしてくださったコーディネーターの方に心から感謝申し上げます。
この後、ドイツから飛行機で1時間のデンマークに飛び、日本からの同級生と合流してデンマーク研修に入りました。