2018.4.1 家政学科 梶木
阪神・淡路大震災をきっかけに発足した国際NGOのCODE海外災害援助市民センターは、CODE未来基金を活用して2008年に発生した四川大地震の支援プロジェクトを2016年度より実施しており、2018年の3月に神女大を含め、神戸大学、関西学院大学、愛媛大学の学生など6名が10年目の被災地を訪れました。神女大の学生が参加したのは、2017年度の家政学科都市デザイン論の授業で、外部講師としてCODE海外災害援助市民センターの吉椿 雅道氏にお越しいただき、災害支援について講義をしていただいたことがきっかけです。
2018年4月1日・日曜日、こうべまちづくり会館において、第4回日中NGOボランティア研修交流事業の報告会が行われ、このプロジェクトに参加した神女大家政学科3年生の清水さんが報告を行いました。国際NGOの支援について現地に行かねばわからないことをしっかりと感じ、学んできたようで、非常に力強い報告でした。
清水さんの報告内容は、以下のとおりです。
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今回CODEの四川大地震救援プロジェクトに参加させていただき、正直なことを言うと初めに出てくる言葉は“しんどかった”の一言です。今まで色々な国に行きましたが全て観光目的の旅行でした。ボランティア活動として海外に行くことも初めてで、中国に行くことも初めてで、慣れない環境で慣れない人と共にたくさんの現実を突きつけられ、周りの人の意欲や発する言葉に一人置いて行かれたような感覚にずっと焦りと不安を抱えていました。その中でも私自身が感じることはたくさんあり、この一週間という短い期間ではありましたが私の中に何か小さな光が差したように思います。
映秀鎮の学校と北川県の街を見たとき、地震や土砂災害の影響で建物がこんなにも無様な姿になってしまうのかと思うと何も言葉にできませんでした。その街の風景も何もかもが変わり果ててしまい、ここにどんな街がありどのような生活をしていたのか想像さえもできませんでした。東日本大震災の津波の影響で街全体が流され跡形も無くなった映像や写真は見たことがありましたが、それらと実際に生で見るのとでは全く違い想像もしていなかった風景が私の目の前にありました。このように跡形も無くなった街や建物を残すことに対して被災者はどのように感じ、どのような思いで今を生きているのか、ここに来た私に何ができるのだろうかと考えさせられました。尊い命がたくさん失われた事実を無かったかのように新しい街を作って生活することがいいのだろうか、街が綺麗になっても家族や恋人、友達を失った人々の心が晴れるわけではないです。被災した人の気持ちは被災した人にしか分からないけれど、今回の私のように跡形も無くなった街を見て初めて災害の恐ろしさを目の当たりにし、被災した人の気持ちを考え、自分に何ができるのだろうかと考えるきっかけになる人がいます。この崩壊した街を残すことで影響される人がいて、未来に繋がる何かがここにあると私は思います。
また今回、たくさんの被災地を回ってたくさんの被災者からお話を聞いて、私たちが学ぶことばかりで被災者の方々にとって私たちは何の役に立っているのだろうか、これはボランティアというのだろうかと最終日の光明村に行くまでずっとモヤモヤしたものがありました。光明村に行くとたくさんの方々が嬉しそうに出迎えてくださり、たくさんの料理を作ってくださいました。私たちが美味しそうに食べている姿を見て喜んでくれて、言葉も通じないのに私たちが笑うと一緒に笑ってくれました。吉椿氏と村の人が話している姿は私には家族以上の関係のように見え、こうして吉椿氏が光明村に来てくれることが村の人の心の支えなのだなと感じました。村の人が、「吉椿氏をはじめたくさんの日本人が来てくれることが嬉しい。こうして交流することでお互いに学ぶことができる。」と言ってくれたことで人を支えるということは、瓦礫集めや家を建てることだけではないのだと気付きました。目の前の一人一人と向き合うことで何の資格も技術もない私にもできることはたくさんあるのだと少し自信になりました。“目の前の小さいことにどれだけ命を燃やせるか”吉椿氏から頂いた言葉にはこれまで吉椿氏が経験してきたたくさんの想いが込められています。とても重くとても美しく感じます。
私はこのプロジェクトで学んだことや感じたことをできるだけたくさんの人に伝えたいです。災害の恐ろしさ、人の強さ、ボランティアの概念、実際に現場に行くことの必要性。ここで学んだことを無駄にしたくないです。何度もくじけそうになり、何度日本に帰りたいと言いたくなったか分からないけれど、この経験は私に大きな影響を与え、ボランティアという道を開いてくれました。四川に行き今までに増して被災地に行きたい、私にできることを探したいと思うようになりました。本当に濃い一週間でした。私がこのプロジェクトに参加できたことに感謝しかありません。このプロジェクトに関わってくださったたくさんの方に感謝の気持ちを忘れず、これからの経験に繋げていきます。