2017.11.25 学園広報
講演の様子
シンポジウム(発表)の様子
シンポジウム(討論)の様子
2017年11月25日・土曜日に、神戸女子大学古典芸能研究センター研究プロジェクト「日本古典芸能の横断的総合的研究拠点の形成」主催の公開研究会「古典芸能研究の横断と総合」を開催しました。これは、文部科学省2013年度「私立大学戦略的研究基盤形成支援事業」採択の5ヶ年計画の研究プロジェクトのまとめとして、時代やジャンルの枠を越えた古典芸能研究への展望を総合的に検討することを目的とした公開研究会で、会場となった教育センターには、約60名の参加者が訪れました。
午前は、京都市立芸術大学日本伝統音楽研究センター所長 時田 アリソン氏の講演「世界の中の日本芸能」でした。平家物語、浄瑠璃といった語り物に焦点をあて、日本以外のイタリア、韓国、中国など世界各国にも語りの伝統が存在することを紹介した上で、日本の語り物の特徴についての興味深い指摘がなされました。
午後のシンポジウムは、公開研究会のテーマである「古典芸能研究の横断と総合」について、各分野の研究者を交えて発表と討論を行いました。
名古屋大学大学院文学研究科教授 阿部 泰郎氏は、神女大の故伊藤 正義名誉教授の研究業績に言及しつつ、特に金春 禅竹の言説を取り上げて、中世芸能の宗教的背景についての見解を発表しました。京都造形芸術大学舞台芸術研究センター所長 天野 文雄氏は、能楽研究の現況についての解説の後、『風姿花伝』第五奥義を取り上げ、「奥義」が持つ意味を指摘、そこから見える『風姿花伝』の構造や成立事情、世阿弥にとっての「秘伝」意識について発表をしました。神戸女子大学古典芸能研究センター長 川森 博司教授は、東北地方のなまはげや沖縄のミルク神などの来訪神に関わる儀礼を紹介し、折口 信夫や岡本 太郎の言説を引用しつつ、民俗芸能の視点から古典芸能のあり方を探ることが可能ではないかという提言をしました。
討論は、京都市立芸術大学日本伝統音楽研究センター教授 藤田 隆則氏の司会により、発表者三人に時田氏も加わって行われました。藤田氏の巧みな主導のもと、それぞれの立場から古典芸能研究に関する様々な視点について活発な意見が交わされました。
古典芸能研究センター展示室では、ちょうど「近代神戸の能楽~大正・昭和を中心に~」を開催しており、公開研究会の参加者も休憩時間や研究会終了後に熱心に見学をしていました。なお、この展示は2018年1月19日までです。
「世界の中の日本芸能」
時田 アリソン(京都市立芸術大学日本伝統音楽研究センター所長)
テーマ「古典芸能研究の横断と総合」
時田 アリソン・阿部 泰郎・天野 文雄・川森 博司・フロア
司会:藤田 隆則(京都市立芸術大学日本伝統音楽研究センター教授)