2017.7.15 教育学科 小原
2017年7月15日・土曜日、宝塚市の障がい者支援施設 チェシャーホーム「はんしん自立の家」で、七夕コンサートを開催しました。
1992年から実施されている音楽療法セッションである「音楽教室」は、毎年、クリスマスコンサートと合わせて年に2回コンサートを開き、今回はちょうど50回目の記念コンサートとなりました。
現在のメンバーは22名で、バンド名は「おじゃま虫バンド」です。スタッフは神戸女子大学大学院研究生や社会人の音楽療法士を中心に、例年、心理学コースの小原ゼミの学部生や院生、教育学科の学生も参加しています。そして、コンサートに向けては、いつも数ヶ月かけて、コンサートのコンセプト、テーマ、曲目、楽器、あいさつや曲紹介の担当など、メンバーとスタッフみんなで話し合いながら、練習を重ねて創り上げていきます。
「音楽教室」は2017年で25周年。そして今回は50回目の記念コンサートとなることから、メンバーの方々の思いは強く、コンサートのコンセプトやテーマについてもたくさんの案が出されました。その後、話し合いを重ねながら、今回の記念コンサートでは、これまで毎回のセッションを大切に歩んで来た軌跡を表す「轍(わだち)」、そして、過去・現在・未来と走り続けている「汽車」、さらにこれからの未来に向かって進む「つばさ」「はばたき」、さらにおじゃま虫バンドが大好きな「世界に一つだけの花」の歌詞にあるように、『世界に一つだけの花…、一つとして同じものはないから…、もともと特別なonly one』の意味を込めて「花」の5つに決まりました。どのキーワードも重みがあり、これらをどのようにコンサートとして一つのテーマにしていったらよいかを話し合う中、“一つの絵にしよう”という案が持ち上がり、いろんなキーワードを一つの絵にしていただく画伯といえば、勅使河原 恵氏の絵!と閃き、早速“5つのテーマの絵”を依頼することになりました。
さらにスタッフの思いとしては、軌跡を表す汽車の線路は、メンバーのみなさんの手形で紡ぎ、22名のメンバーのみなさんが“特別なonly one”と描かれるように、たくさんの花を咲かせて下さいと、たくさんの希望を伝えました。その後、本当に全ての思いがつまった絵が完成し、本番のステージのダイナミックな背景となりました。
記念コンサートのプログラムは、25年前に初めて練習した曲である「ラブ・ミー・テンダー」の演奏から始まり、つぎに「線路は続くよどこまでも」の歌とともに、トレインホイッスルとシンセサイザーで走る汽車のイメージを演出しながら、大きなテーマの絵が登場し、会場全体に楽しい笑顔が拡がりました。そしてその絵を見ながら、「世界に一つだけの花」を歌いました。
25年前、「音楽教室」が開始した当初は、ほとんど楽器もなく、演奏できる曲も限られていました。しかし25年の歩みの中で、どんどんと新しい楽器が導入され、今だからこそできることとしてメンバーのみなさんとスタッフがみんな同じ楽器をもって演奏してみようというアイデアがあがり、「見上げてごらん夜の星を」を、ピアノ伴奏に合わせてベルとトーンチャイムだけで演奏することとなり、本番では、テーマの絵の左側の夜空のように、美しいハーモニーが会場全体にやさしく響き渡りました。
そして「つばさ」「はばたき」のイメージで「翼を下さい」を大合唱しました。さらに最後の曲は、夜の次には必ず太陽が昇る・未来へ向かっていく思いを歌にしようと『未来へ』を選びました。この曲では、大学・大学院卒業生の社会人も大集合で、ギターやバイオリン、クラリネットも合流し、会場全体で深みのある音色と歌声が響きました。会場の中には涙される姿もありました。一曲一曲にたくさんの拍手をいただき、メンバーの方々も輝く明るい表情をされていたのが印象的です。
本当に暑い真夏の一日でしたが、「はんしん自立の家」のスタッフの方々のご協力のもと、入居者のご家族やサロンコンサート協会、地域の人々など、たくさんの方たちと、“ともに”心あたたまる充実した時間を共有することができました。
25周年の第50回記念コンサート、それぞれの想いがCDになります。
第50回記念コンサートのテーマの絵 勅使河原 恵:作&河村 美帆:写真アレンジ